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No.22479 ( 詞リスト )
(1) the last eve作詞/鈍愚離殺々905_600<>905_602
さよならさよなら こんな浮かれた夜に お別れなんて辛いな

僕はまだ16歳だった
満員電車の中でレジャー用の椅子を広げたおじさんは
欠けた前歯を隠しもせず座りこう言った
「立ちっぱなしは疲れるもんなあ?なあ?なあ?」

晩飯はから揚げだった
僕が生まれた時に買ったというハンテンを今年も着てるカーチャンは言った
「あらそれ焦げてるわね。私のと交換しようか」

カーチャンが食後に出した100円のケーキを床に落として言った
「ケーキっつったら丸くてデカいのだろなんだこれイラネ」

その日のオカズはグラビアだった
見飽きたページをめくりながらも襖を視界から外さず思った
「鶏のから揚げじゃなくて七面鳥ってやっぱスゲーのかな」

しごいてもしごいてもたたない夜がある
グラビアに重なって浮かんでくるあの子の顔に向かって言った
「どうせ今頃あんあん言って腕の中で寝てんだろ」

僕には繰り返し呟く言葉がある
顔の出来も毛の量も頼りないあの人が言った
「愛想笑いの中で生きるより罵りの中で死にたい」

自分を騙しきれない予感はあった
ウソだってわかってるけど信じたかった
「生まれながらに与えられたものなんてほんの僅かなもの」

おじさんは立ち上がりどこへ行ったか
誰もが目をそらしたあの時 僕も確かにそこに居て
確かに聞こえた問いかけに答えなかったのはなぜか

浮ついた世間に流されるだけの連中が
問いかけ続けるおじさんにいつか返事をする日が来るのだろうか
薄っぺらい連中とは違う僕は
売り渡さないと誓ったこの拳をいつか受け止めてもらえるだろうか

僕はまだ16歳だった
僕はもう26になった

さよならさよなら こんな浮かれた夜に お別れなんて辛いな