(1)
まつとし聞かば 今帰り来む :
作詞/無楽 :
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君 去りしあと 十日
あちらを探し こちらを覗き
日がな一日 探したり
君 消えしあと 一月(ひとつき)
町のあちらに 角のこちらに
その愛しき 面影を
貼りてまわりて 過ごしたり
文(あや)の無くに 過ごしたり
君 見えぬ日々 一年(ひととせ)
夢の枕に 鈴の響くに
目を覚まして 振り返る
春 たけなわの 縁側
膝の上に 在りし温み
ころり転がり 鳴く声は
涙ながらに 泣く声は
去りし所以を 諭したり
(撫でてじゃらすに 揺れる尾は)
(ひいふうみいよ いつむうな)
(抱いて寄せるに つぃと逃げ)
(鼻に止まりし 薄紅を)
(さも嬉しげに ふぅと吹き)
(きびす返して 歩きゆく)
夢 現にて 悟り
戻らぬを知る 春の日は
眠りを涙を 誘いたり
君 恋しきは やまず
古にならい 詠に託す
あの鈴の音を いま一度
名を猫股と 変えたとて
あの面影を いま一度
(まつとしきかば)
(いまかへりこむ