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連作「ソニア」 ~金沢五重奏~その一「世界の始まりと終わり」 :
作詞/藤亭 :
1009_98-99
踊り飽きた君が僕の隣に座ったのを
偶然とか運命のせいにしたくない
きっと僕達はお互い何か欠けていたから
それを埋め合わせる力が働いたんだろうって
そう思いたいじゃない?
「喉が乾いたの、一緒に飲まない?」
ロックアイスみたいにクリアな声
僕はズブロッカ、君はチェリーの乗ったカクテルを
天井にぶら下がったモニターで
ウッズが満月みたいにスイングしてた
新世紀の五月はまだ静寂で
僕達は何も分かっていなかった
触れた指先から恋が始まった事も
もうすぐ世界が終るって事も
寄りかかる肩の暖かさを伝えるのは
言葉以上に通じ合う不思議な力
片町は今日も賑やかで、寂しくて
僕達みたいに何かが欠けてるってのは
気のせいじゃ無いだろう?
「この街はいつも濡れてるね」
そりゃ君の故郷は氷の世界だろうけど
ここにはここの良さが有るって
余所者の僕が言うのも変だけど
愛し合うには充分過ぎる程素敵な街
皆が新世紀に浮かれてた
僕達は雨の街で幸せに包まれ
始まりの予感を感じていた
終わりの近い世界の中で
(終)