赤とんぼデータベース

幾ら幾ら　もがいて見せても
もがく腕も　二本の足もない　僕じゃ
幾夜幾世　叫んで見せても
足掻く声も　舌も口もない　僕じゃ

白く波打つ海から逃れることはできなくて
逆らえない巨大な体温の中に閉じ込められて
毛羽立つ草むらに絡め取られて滲んでく
僕は選ばれないまま

来る世来る夜　飛び出して見せても
向かう先も　定まっていない　僕じゃ
待つ世待つ夜　期待に胸膨らませても
頼る神さまも　頼りないそんな　僕らじゃ

愛しく思うまだ見ない君の顔を思い浮かべては
ハナから勝ち目のない争いごとに飛び出し逝く毎日
抗えないGOサインに背中を突き飛ばされては
僕は選べないまま

飛び出せ　晴れない雲に明けない夜に負けるだけの毎日には意味なんてない
この生に　今泳ぎ逝く僕の心を見失わない様に
飛び出せ　道駆ける誰にも負けないように今度こそと一つだけの足が砕けても
きみの生を　求めて　溶ける
白い膜を突き破って　また生まれ変わりゆく　遠い夢