(1)
輪廻 ：
作詞/MYK ：
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昔むかし、ある所にしがない男が住んでいたとさ
薄汚い袴姿で真夜中を徘徊する日々
持てる武器も才能もない癖に変な誇りを胸に抱いていた
男は奇声を上げながら居場所を探し続けていた
「大正の風は冷たいな…」
呟いて見上げた空はまたしても曇りだったらしい
最底辺で作り笑顔をして男らしく振る舞う事に
疑問がわいて嫌気がさして義務感に囚われた彼は
自分が一体なんなのかわからなくなり真夜中
柿の大木の真下 その命を絶ったらしい
身分の低い男は破天荒には生きられなかった
この人生に自由を見いだせないまま死んだ
今は現在、ある所にしがない女が住んでいる
色気もなく醜い姿でネットを徘徊する日々
持てる武器も才能もない癖に無駄な夢想を胸に抱いて
女は騒音を奏でながら居場所を探し続けていた
「平成の風は冷たいな…」
呟いて見上げた空はネオンが分厚い雲を照らしている
最底辺で作り笑顔をして女らしく振る舞う事に
疑問がわいて嫌気がさして義務感に囚われた彼女は
自分が一体なんなのかわからないまま真夜中
騒がしい人混みの中 とある話を聞く
女は前世、男として産まれ落ち不自由に育ち
彷徨い続けて自ら命を絶った後
「きっと男だったからこの人生は失敗したんだ」
そう言い聞かせて
現世に女として生まれ変わったとさ
嗚呼、最底辺で作り笑顔をして一般人として生きる事に
疑問がわいて嫌気がさして…
「自分はどうやらこの人生も失敗したらしい」と、
真夜中
見上げた柿の木の真下 この命どうすればいい？
まっとうに生きる事の出来なかった無様な女は
この人生に自由を見いだせなくとも
来世がもしあるとしたなら、と、呟き
せめて居場所を作ろうと今も叫んでいるらしい