(1)
ゆうれい :
作詞/無楽 :
765_24
柳の下にて泣く幽霊は
雨の深みに立つ瀬なく
乱れ髪に似た葉の先を
目指し跳ねたる蛙の哀れ
夕闇に迫る髪の黒にて
誰ぞ彼なるかんばせの
あばたもえくぼに成れる日を
待ちつ焦がれつ闇夜を渡る
その後ろ姿に纏う艶(つや)は
兎にも角にも悲しかりけり
絵に見る貴女に魅せられて 筆を運んでみたけれど
あなうらめしやの一念を ここに表すことができない
両の手をたらす訳を聞くに
手のひらを見せさ迷えば
哀れを湛えるたなごころに
いつかの日々を想い返すと
その立ち姿に誇る艶(あで)は
さてもわからず苦しかりけり
夜ゆく貴女に魅せられて 声に泣いてみたけれど
あなうらめしやの執念を 今に残すことができない
*編註/コメント: