(1)
怪談～走り出す足～ ：
作詞/('A`)ﾓｦﾄｺ ：
981_63
もう１０年ほど前の話です、私はね図書館で
古い本を借りたんですよ、その帰りに暗い暗い夜道、
ちょっと坂になった雑木林の間の道をずっとゆっくり
歩いていたんです、そうしたら、雑木林の方に、
ふわっと白いものが見えたんです。何かな、と
思ったんですが、どうせ自転車のライトだと
思ってじっとその白いものが見えた方角を見ていたんですが、
よくよく見るとそちらの方は崖になっていて、道はないんです。
見えるのははるか遠くの暗い森だけ、おかしいんです、
月の方角は反対、しかも誰もいないはずの方角からの
白い明かり、私はそちらの方が気になって気になって
しょうがなかった、おかしい、おかしいと思いながらも
ゆっくりと坂を上って行って、ふと前を見ると、
足だけがあるんです、真っ白で真っ青に血の気の
引いたような足、その場で足踏みしているんです。
その足踏みが１０回ほど終わった頃、突然こちらに
向かって足をくるんと向けたんです、そしてそのまま
空中を這うかのように早い足踏みで段々と小走りになって
とうとう私の目の前に来た頃、その白い足が
犬のウンコを踏んだんです、素足で踏んだのが
ショックだったのか気が付いたらいなくなっていました。