(1)
ふるまち :
作詞/203号 :
826_667
敷かれた青空を指で囲い
背高(せいたか)の草々に埋もれている
木漏れ日に目を細めれば ほら
そこには飛蚊症の女の子が
杉の木を割って走る路を進んでいく
霞んだ白線に 鳴く蝉の声がざんざんと降り
あまたの 散らばっていくコラージュを踏みつけ
靴の裏を汚して 夏いと叫んでいる
高架線の下で電車は揺らいで
小さく日々の喧騒に刻まれていく
飛蚊症女の子の空には まだ
幼い入道雲 陽炎 溶けた言葉
に
刺された柔い首すじを撫でている この季節
万象が囁く、このまち